E-CUS project
ARTIST
小川 千尋 / CHIHIRO OGAWA
略歴
- 2005 東京芸術大学絵画科油画専攻卒業
- 2007 東京芸術大学大学院 美術研究科絵画専攻 油画技法・材料研究室 修了
- 2008 みなかみコレクション(みなかみ街芸術村設立実行委員会)卒制・修了作品寄贈
- 2008 個展 馬喰町art+eat)
- 2011 行商 ギャラリーサーカス(表参道スパイラル/ロイドワークスギャラリー )
- 2011 個展(馬喰町art+eat)
- 2014 「見ること・描くこと」 —油画技法材料研究室とその周縁の作家たち(東京藝術大学美術館)
- 2015 個展 (Tobarier Gallery)
- 2016 個展(伊勢丹浦和)
作家紹介
丸いフォルムで形作られる不思議な印象を醸し出すモチーフと独特の質感を特徴とする小川千尋の作品は、単純なようでいて複雑な世界へ導いてくれます。
彼女の最近の作品にはよく子どもが登場しますが、それは彼女自身にまだ子どもの部分があるからだと言います。自分と外界の線引きがまだ曖昧な子どもたちのストレートな感情が、その子の本質としてにじみ出るような様子を描きたい。そう語る小川の絵の中の子どもたちは、皆一様に不思議な表情をしてどこか一点をみつめ、喜怒哀楽のどれでもない表情をしています。その表情からは、何も考えていないのか、それとも考え込んでいるのか、当人以外誰も分からないプライベートな感情が読み取れます。それは、誰もが持ちながら、誰とも共有できない、不思議な感情といえます。
明るい色彩とデフォルメされた形で描かれた画面を近くで見てみると、土っぽいマットな質感とキラキラした粒子が見えてきます。東京芸術大学で油絵を専攻していた小川ですが、在学中日本画に興味を持ち、日本画材として知られる岩絵の具を用いるようになります。現在でも白亜地に岩絵の具で描くなど、理想の質感を追い求め、実験を重ねる彼女の作品は、柔らかくも力強い独特のマチエールを持っています。
小川は2007年に東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油絵技法・材料研究室を修了し、その後は大学でのアシスタントを経て、現在作家活動を行いながら、専門学校や絵画教室、公民館などで幼児から大人までの幅広い層へ美術指導を行っています。
文章|大平江利子