E-CUS project
ARTIST
安原千夏 / CHINATSU YASUHARA
- 1993 千葉県生まれ
- 2017 多摩美術大学 卒業
- 2019 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻 修了
- 2019- 多摩美術大学教育研究助手
作家紹介
安原千夏は2019年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了、現実と虚構の境界へ興味をもち、近年は「スクリーン」をモチーフとした作品を制作している作家です。
映画館の「スクリーン」は、それ自体巨大で無機質な平面に過ぎませんが、プロジェクターから光の像が投影された瞬間、現実と虚構を仲介する「窓」となります。そして本展における一連の作品は、このスクリーンというメディアありようを表すとともに、物語の終わりに映し出されるエンド画面をモチーフとすることで、その「境界」についての問いを一層明瞭なもの としています。「THE END」、「完」、あるいは「FIN」といった画面は、ストーリーが終了したことを観客に知らせると同時に、その映画が「虚構」であることを露わにしてみせます。したがってそれは現実と虚構の間を遮断する壁であり、物語に没入する人々を無慈悲にもそこから引き離すものであるといえるでしょう。しかし、この強烈な記号として訴えかけるイメージを、安原は「シルクスクリーン」というポップな手法で再提示しています。それはまるでエンド画面によって明確に示された現実と虚構の境界を、かろやかに暈(ぼか)すかのようでもあります。
|文章 岩垂なつき|