sakanabacca 中目黒 / 中目黒
紹介
sakanabacca2店舗目の中目黒店。産地から直接仕入れるITサービスを構築する事で、築地市場から魚を仕入れている東京の一般的な鮮魚店には流通しない、見たことのない美味しい魚をリーズナブルに購入できる魚屋さん。1店舗目のsakanabacca武蔵小山店の設計では、既存の魚屋を部分改修するだけの案件であったが、中目黒店からは1から新たな魚屋の空間を設計する事となった。
年: | 2015 |
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用途: | 魚屋 惣菜屋 |
所在地: | 東京都 目黒区上目黒2-21-4 |
延床面積: | 85㎡ |
設計期間: | 2014.12-2015.01 |
施工期間: | 2015.01-2015.03 |
施工: | 鎌田工業 |
照明器具: | 湊健雄 |
新たな魚屋の為の空間デザイン
居酒屋ではなく魚とその惣菜を売る魚屋である。1店舗目のsakanabacca武蔵小山店の設計は、既存の魚屋さんを部分改修しただけのものであったのだが、中目黒店からは、一から新たな魚屋を設計する事となった。
クライアントから当初説明されたコンセプトは「魚調理のミュージアム」。珍しく希少な魚が調理されて惣菜となるまでの工程を段階を追って販売するようにする。はじめに、美味しく出来上がった惣菜をお客様が買う。魚の調理法を覚えたら次に切り身を買う。魚のさばき方を覚えたら魚をまるまる買う。魚を美味しく食べる為の調味料や調理器具や本などもそろえてある。
「お客様が魚の調理法の工程をさかのぼれるように、魚やその周りを販売する事で最終的には様々な魚をまるまる1匹さばける人々が世の中に増えることが理想」との事であった。魚を販売するだけでは無く、日本の豊かな魚食文化の魅力がお客様の生活を彩る、とても面白い試みだと感動した。
魚屋サードウェーブである。チェーン店で大量販売される魚とは違う、魚の質にこだわり、一匹一匹調理法にも工夫した、新しい魚屋のブームがくれば良いな、そんな日常が訪れれば良いなと思った。
そのような店舗で重要な点は、魚を介した楽しいコミュニケーションが自然に生まれ、地域との密接な関係が生まれるような、開放的な空間をデザインする事である。
その為には、魚に詳しいスタッフにお客様がいつでも話しかけられる仕掛けが必要だと考えた。そのコミュニケーションから生まれた人や魚や味への信頼は、量販店の鮮魚コーナーでは到底叶わない、武器となる。
外部の空間構成に関して
まず、スタッフが魚を調理している光景が見えるように大きな窓を配置した。魚調理のショーケースである。毎日、お客様がお店の前を通ると、魚を調理しているスタッフの顔が見え、親しみが生まれるとともに、目の前で魚の調理を確認できるので安心感を得られる。
店舗の入り口には開放感のあるガラス引き戸を配置し、中の様子が伺えることで入りやすい雰囲気を生み出した。引き戸の取手部分は魚の形に彫り込まれており、扉を開ける瞬間に、少し緊張感がほぐれるような楽しそうな雰囲気を演出している。戸は片側にすべて寄せられるようになっており、店舗の中と外の物理的な境を無くし、イベントなどを行いやすいよう設計した。
商店街から遠く一般的な食材店としては珍しい立地だが、間口が広くある事で、単なる色合いや素材感のデザインではなく、都市や人々とのコミュニケーションのツールとして有効な機能を持ったファサードを実現することができた。
内部の空間構成に関して
販売スペースと調理スペースの間には、色とりどりの魚をずらりと大量に並べられるようにショーケースを設置した。冷蔵庫タイプではなく、直接氷を底にひくタイプの特注デザインを行ったアイスベッドである。排水を設けたので、とにかく氷を追加するだけで良い。また魚を持ち帰る時にその氷をじゃんじゃん使える。
その大量の氷の上には様々な魚がどんな形をしているのかわかるよう、大型のガラス戸で覆い、演色性の高いスポットライトを使って魚のライトアップを行うことで、、一層煌びやかさが増すようにデザインしている。
その楽しくな光景をきっかけに、ふらりと入ってついついお惣菜を買ってしまうような。
店舗内に入ってもスタッフが魚を調理している光景が容易に見れるよう、販売スペースと調理スペースの間には大きな窓を設置した。
魚の捌きを注文すると、目の前のアイスベッドから取り出された魚を目の前の大きな窓越しに捌いてくれる。その安心感が魚をより一層美味しくする。珍しい魚でも安心して食べる事が出来る。
そして、店内の吊り照明には、takram design engineeringの内装設計に関わった際に共同でデザインした照明器具に、sakanabaccaのロゴマークの三本線をあしらったものを設置した。小さめの裸電球のようにみえる小ぶりなLED電球で、小さい割にはピカピカとひかってみえ、引き戸を開放した場合には、道を行きかう人々を店内に誘うような効果を期待している。
その他の構成に関して
鮮魚店だけでなく惣菜店も兼ねているので、実は厨房が二つある。1店舗目には無かった用途である。二つの厨房の間は、扉を二か所設定しており、回遊性を持って作業がし易いように計画している。また、そのように境界を間仕切りのように感じさせない計画をしたので、販売スペースから見ても開放的な厨房が1つあるだけのように見えていて、厨房の内部をお客様が見渡せるような安心感が店全体の雰囲気の中に生まれている。
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